【疲労科学のリテラシー講座】第1回 「疲労とは?」

株式会社FMCC様からご提供頂く、「疲労、ストレス、睡眠、メンタルヘルスなど」の記事をお届けします。 疲労科学の専門家による、様々な知識や研究成果などをご紹介します。

疲労とは

 健康な状態でも、激しい運動や長時間の労作(骨を折って働くこと)を行った場合、また過度のストレス状況におかれた場合などに、“だるい”、“しんどい”という感覚で疲れを自覚し、体を休めるきっかけとなっています。

 日常生活で経験している生理学的な疲労は、体を休めることにより元の正常な状態に回復するため、長く続くことはありません。

 しかし、風邪などの感染症や炎症性疾患、悪性腫瘍などの身体疾患に陥った場合や、自律神経系の障害、不安障害、うつ病などのメンタルヘルス障害に罹患した場合など、病気に伴う疲労は生理学的な疲労とは異なり、体を休めるだけではなかなか回復しません。

 また疲労と疲労感は、あまり区別することなく用いられていますが、「疲労感なき疲労」や、逆に「疲労なき疲労感」の存在が知られていまして、正しく理解する必要があります。

 社団法人日本疲労学会では、疲労と疲労感を以下のように定義して区別しています。 『疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体活動能力の減退状態である。疲労は「疲労」と「疲労感」とに区別して用いられることがあり、「疲労」は心身への過負荷により生じた身体能力の低下を言い、「疲労感」は疲労が存在することを自覚する感覚で、多くの場合不快感と活動意欲の低下が認められる。疾病(感染症、悪性腫瘍、変性疾患など)の際にみられる全身倦怠感、だるさ、脱力感は「疲労感」とほぼ同義に用いられている。』

なぜ、疲労、疲労感が必要なのか?

 では、ヒトはなぜ疲れを感じるのでしょうか?その答えは、疲労感は体を守る大切なアラーム信号だからです。

 ヒトが激しい運動や長時間の作業をしている時、細胞レベルでは、たんぱく質や遺伝子に傷が増えてきています。傷の量が限界を超えてしまうと細胞は壊れてしまいますので、傷を修復する必要があります。

 しかし、活動を続けたままでは細胞内のエネルギーを細胞修復に利用することができません。そこで、ヒトは疲労感を合図に休息を取り、体を元の健康な状態に戻しているのです。

 「疲れ」と同様に、「痛み」や「発熱」も体を守る大切なアラーム信号です。これらの症状がいくら体を休めても回復しない時や、日常生活に支障をきたしている場合は、体の中に何か異常が起きている可能性があります。必ず医師と相談して対処することが大切です。




医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪市立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。
大阪大学大学院医学系研究科 招へい教授。
日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。


記事提供:株式会社FMCC(http://www.fmcc.co.jp/health01.html

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